スマホには、写真や連絡先だけでなく、メール、SNS、ネット通販、銀行や決済サービスなど、さまざまな情報が入っています。
普段は顔認証や指紋認証で簡単に開いているため、スマホのロックについて深く考える機会はあまりないかもしれません。
しかし、持ち主が亡くなったあと、家族がそのスマホを確認する必要が出てきたとき、
「ロックを解除できない」
という問題が起こることがあります。
スマホが手元に残っていても、中を確認できるとは限りません。
この記事では、亡くなった人のスマホのロックを解除できないと何に困るのか、そして今のうちに考えておきたいことを整理します。
スマホが手元にあっても中を見られるとは限らない
家族のスマホが手元に残っていれば、
「何かあってもあとから確認できるだろう」と思うかもしれません。
しかし、スマホに画面ロックが設定されていて、その解除方法がわからなければ、中に保存されている情報を簡単に確認できるとは限りません。
iPhoneでは、パスコードを忘れて端末にアクセスできなくなった場合、Apple公式ではiPhoneをリセットし、端末内のデータを消去して再設定する方法が案内されています。
【Apple「コンピュータを使ってiPhoneとパスコードをリセットする」】
Androidについても、Google公式ではスマートフォンのロックを解除できない場合、端末のデータを消去したうえで再設定する方法が案内されています。
【Google「Android デバイスのロックを解除できない」】
つまり、
「スマホ本体が残っている=中のデータを家族が確認できる」
とは限らないということです。
スマホを開けないと何に困る?
実際にスマホを開けなくなった場合、問題になるのは端末そのものだけではありません。
普段スマホを使って行っていることを考えると、影響する範囲はかなり広くなります。
連絡先を確認できない
家族がすべての友人や知人を把握しているとは限りません。
スマホの連絡先やメッセージアプリにしか残っていない相手もいるでしょう。
本人しか知らない交友関係がある場合、スマホを確認できないことで、連絡したい相手を見つけられない可能性があります。
写真や動画を取り出せないことがある
スマホには、家族との写真や旅行の動画など、大切なデータが保存されていることがあります。
GoogleフォトやiCloudなどに保存されていれば、別の方法で確認できる可能性があります。
一方で、スマホ本体にしか保存されていないデータについては、端末を開けないことで取り出すのが難しくなる場合があります。
特に注意したいのが、ロックされた端末を再び利用するために初期化が必要になるケースです。
初期化すると、端末内にしか保存されていないデータは失われてしまいます。
利用しているサービスを把握しにくくなる
スマホには、普段利用しているサービスのアプリが並んでいます。
たとえば、
・ネット通販
・動画や音楽などの定額サービス
・SNS
・ネット銀行
・証券サービス
・スマホ決済
・クラウドストレージ
などです。
スマホを確認できれば、
「こんなサービスも使っていたんだ」と気づけることがあります。
一方で端末を開けなければ、本人がどのサービスを利用していたのか、家族が把握するための手がかりのひとつを失うことになります。
メールを確認できない
メールは、さまざまなネットサービスとつながっています。
契約のお知らせ、購入履歴、料金の請求、サービスからの通知などが届いていることもあります。
そのため、本人が利用していたサービスを調べるとき、メールが手がかりになることがあります。
スマホを開けない場合、端末のメールアプリから確認することも難しくなります。
また、メールそのものがスマホの中だけに保存されているとは限りません。
GoogleやAppleなどのアカウント側に保存されているデータについては、端末のロックとは別に考える必要があります。
「スマホのロック」と「アカウント」は別のもの
ここは少しわかりにくいところですが、整理しておきたいポイントです。
スマホ本体のロックと、GoogleやAppleなどのアカウントは別のものです。
たとえばiPhoneを開くためのパスコードがわからなくても、iCloud上に保存されているデータまで必ず失われるという意味ではありません。
反対に、Apple Accountの情報がわかったからといって、ロックされたiPhone本体をそのまま開けるとは限りません。
Androidでも同様に、スマホ本体に保存されているデータと、Googleアカウント側に保存されているデータは分けて考える必要があります。
そのためデジタル身じたくでは、
・スマホ本体
・AppleやGoogleなどのアカウント
・クラウド上のデータ
を、それぞれ別のものとして考えておくと整理しやすくなります。
AppleやGoogleには亡くなったあとのための仕組みもある
すべてをスマホのロック解除だけに頼る必要はありません。
AppleやGoogleには、自分が亡くなった場合などを想定して、あらかじめ情報の扱いを決めておくための仕組みが用意されています。
Appleの「故人アカウント管理連絡先」
Appleには「故人アカウント管理連絡先」という機能があります。
あらかじめ信頼できる人を登録しておくことで、自分が亡くなったあと、その人がApple Accountに保存されている特定のデータへのアクセスを申請できます。
対象となるデータには、
・写真
・メッセージ
・メモ
・ファイル
・デバイスのバックアップ
などがあります。
一方で、故人アカウント管理連絡先に登録していても、すべての情報にアクセスできるわけではありません。
たとえば、iCloudキーチェーンに保存されているパスワードやパスキー、支払い情報などは対象外です。
また、実際にデータへのアクセスを申請するときには、事前に発行されたアクセスキーや、死亡を確認するための書類などが必要になります。
設定方法やアクセスできるデータについて詳しく確認したい場合は、Apple公式サポートで確認できます。
【Apple「Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法」】
Googleの「アカウント無効化管理ツール」
Googleには「アカウント無効化管理ツール」があります。
一定期間Googleアカウントが利用されなくなった場合に、
・誰に知らせるか
・どのデータを共有するか
・アカウントを削除するか
などを、あらかじめ設定できます。
指定した相手にGoogleアカウントそのものを渡す仕組みではなく、共有するデータの種類を事前に選べるようになっています。
Googleによると、データを受け取る相手は最大10人まで指定できます。
設定できる内容については、Google公式ヘルプで詳しく確認できます。
事前に設定していなかった場合は?
本人が亡くなる前にこうした設定をしていなかった場合でも、Googleでは遺族や代理人から故人のアカウントについてリクエストを送るための窓口を用意しています。
申請内容によって、
・故人のアカウントを閉鎖する
・故人のアカウントからデータを取得するためのリクエストを送る
といった手続きを行えます。
ただし、申請すれば必ずデータを取得できるわけではなく、Googleによる審査が行われます。
また、Googleは故人のパスワードやログイン情報そのものを家族へ提供することはできないと案内しています。
実際に必要になった場合は、Google公式の手続き案内を確認してください。
【Google「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」】
ではスマホのロック番号を家族に教えておけばいい?
ここまで読むと、
「それならスマホのロック番号を家族に教えておけばいいのでは?」
と思うかもしれません。
確かに、それも方法のひとつです。
家族がロック番号を知っていれば、もしものときにスマホの中を確認しやすくなる可能性があります。
一方で、スマホにはメールや写真だけでなく、SNS、決済サービス、金融サービスなど、さまざまな個人情報が入っています。
そのため、
「家族だからすべて見られても構わない」とは限りません。
家族にロック番号を伝える場合でも、
・誰に伝えるのか
・どのような場合に確認してほしいのか
・見てほしくない情報はないか
といったことを考えておくと安心です。
また、ロック番号を紙などに残す場合は、自宅内であっても誰でも簡単に見られる場所に置いておくのは避けた方がいいでしょう。
大切なのは、
「ロック番号を残すかどうか」だけではなく、誰に、どの情報まで託したいのかを考えておくことです。
今のうちに確認しておきたいこと
スマホについて備えるといっても、難しいことを一度にする必要はありません。
まずは次のようなことから確認できます。
・大切な写真はスマホ本体にしか保存されていないか
・写真や連絡先のバックアップは取れているか
・自分しか知らない重要なサービスはないか
・AppleやGoogleの死後に備える機能を設定するか
・スマホの情報について家族に何を残したいか
このあたりを確認しておくだけでも、
「スマホが開けなければ全部わからなくなる」という状態を減らすことができます。
スマホそのものにすべてを頼らないことが大切
今のスマホには、本当に多くの情報が集まっています。
だからこそ、
「何かあったら家族がスマホを見ればわかるだろう」と考えてしまいがちです。
しかし、スマホにはロックがあります。
そのロックを解除できなければ、手元に端末が残っていても、中の情報を自由に確認できるとは限りません。
・大切な写真はバックアップする。
・利用している重要なサービスは、スマホ以外の方法でもわかるようにしておく。
・必要に応じてAppleやGoogleが用意している機能も設定しておく。
スマホを「すべての情報が入った箱」にしたままにせず、
スマホを開けなくても、本当に必要な情報は家族がたどれる状態にしておくこと。
これもデジタル身じたくのひとつです。
